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KOKO DOKO 15

問屋町通りから正面通りへ。

天保、元禄…。
聞けば気が遠くなるような昔からの超老舗が風格ある店を構える京まちなか歩き。
文・写真 = 内藤靖正
K-7 + smc PENTAX-DA★ 16-50mmF2.8ED AL [IF]SDMを使用して撮影。絞り優先AE、絞り:F16、シャッタースピード:1/125秒、カスタムイメージ:風景
5問屋町通から正面通を東に曲がると、正面に豊国神社の鳥居が見えてきた。まさに通り名の原風景である。

問屋町通は五条大橋の東詰め、鴨川東岸の川端通の1筋東で、北は五条通から南は正面通まで400mほどの細い通りである。

古書によると昔は野菜や干物、菓子などの問屋が軒を連らね、朝市も開かれるにぎやかな通りだったらしい。とくに五条大橋、方広寺や豊国廟(とよくにびょう)の建設など、豊臣秀吉の政権によって大きく様相を変えたまちだったという。

五条から南に入ってすぐ、創業元禄2年(1689年)という半兵衛麩(ふ)が立派な町家の店を構える。ここでは東山の音羽(おとわ)の滝と同じ水脈の豊富な地下水にも恵まれて、おいしい麩作りが続けられてきた。ゆばは寺院や料理店の勧めで明治期からはじめたという。これらの商品を一般の家庭でも使ってほしいと、小売店を開いて40年が経過した。最近はからだに優しい食品が見直され、観光客らも次々に訪れる。麩やゆばの料理法を紹介しながら町家の座敷に出される昼食「むし養い」も人気だ。

※下の小さい画像をクリックすると拡大表示します。
1江戸時代中期からはじめた京麩づくりを頑固に守り続ける半兵衛麩。重厚な町家がその長い歴史を物語る。
 
2「旅籠(はたご)」と呼ばれた時代から受け継がれているもてなしの心。明治、大正ロマン漂う宿・晴鴨楼。
 
3柏原家の旧屋敷で江戸時代からの伝承品を展示公開する洛東遺芳館。貴重な文化遺産は必見の価値ありだ。
         
   
4問屋町通で見かけた津田邸は問屋町の名にふさわしい立派な町家。このエリアは建物ウオッチングも楽しい。
 
6雰囲気がある建物の前で思わず足が止まった。観光客も立ち止まる。昼の豊国弁当など人気の京料理道楽。
 
7大小の、いろんな形のたわし、ほうきは家庭の必需品だった。外国人も珍しそうにのぞき込む尾崎商店の店先。
         
   
8かしわ、たまごの専門店の表でいつも昼寝の飼い猫。通行人も「かわいい…」と声を上げて携帯でカシャ!
 
9慶長3年(1598年)に亡くなった豊臣秀吉は東山の太閤坦(だいら)に葬られた。現在の豊国神社は明治の再建。
 
10天正14(1586年)に大仏と大仏殿、鐘が建立された。いまは鐘だけ残る方広寺に観光客の姿が絶えない。
         
     
11住居を雑貨とカフェに転じた東山パイン。向かいは博物館の好立地で散策のいっぷくにうってつけだ。
       
 

半兵衛麩

●午前9時〜午後5時/予約制の「むし養い」3,150円は午前11時〜午後2時30分(無休)。
●京麩各種315円〜、生麩420円〜、生麩のしぐれ煮998円、麩とゆばの詰め合わせ1,575円〜など多彩。
075-525-0008
URL:別ウインドウで表示http://www.hanbey.co.jp/

晴鴨楼

●1泊2食つき26,250円〜、夜の会席料理12,600円と15,750円(いずれも予約制)。
075-561-0771
URL:別ウインドウで表示http://www.seikoro.com/

洛東遺芳館

●秋季展は10月1日〜11月3日●午前10時〜午後4時入館(月曜休館/祝日のときは開館)。
●大人300円、大学・高校生200円、中学・小学生・きもの100円。
075-561-1045

尾崎商店

●午前9時〜午後6時(土曜・日曜・祝日休み)。
●たわし150円〜、亀の子たわし280円、ひもつきたわし1,050円、手編み手ぼうき720円など。
075-561-5317

東山パイン

●午後0時〜午後5時30分(月曜と第2・第4火曜休みのほか不定休も)。
●コーヒー450円、抹茶オーレ500円、ハンバーグサンド700円、ロコモコ750円など。
075-525-5185

※掲載内容は2009年8月時のものです。すでに変更されている場合がありますので、ご利用の際には必ずご確認ください。

すぐ南の晴鴨楼(せいこうろう)は「晴れた鴨川のほとりに建つ楼閣」の名の通り重厚な宿。創業が天保2年(1831年)という老舗で、京都らしいもてなしが喜ばれている。部屋に余裕があるときだけの夜の会席料理はグルメの人にも評判だ。

正保2年(1645年)創業、京小間物などの商いで江戸にも進出した豪商・柏屋(かしわや)の旧宅も見事だ。ここでは昭和49年(1974年)から洛東遺芳館(らくとういほうかん)として、江戸時代からの伝承品の婚礼調度、絵画、浮世絵、工芸品、古書古文書などを春と秋にテーマを決めて一般公開している。この秋は「狩野派と合わせ貝」のタイトルで松栄や尚信、安信らの屏風(びょうぶ)と益信、常信、敦信らの掛け軸、合わせ貝を公開する予定という。

東西の正面通は方広寺大仏殿、豊国神社の正面からはじまるところからの通り名という。問屋町通から正面通を左に曲がってすぐ、京都市の「歴史的意匠建造物」に指定されている京料理の道楽がある。ガイド本によると「秀吉の側近・石田三成の軍師の島左近の邸宅を移築した」とか。思わず足が止まる風情ある建物だ。

右から亀の子たわし280円、しましまロングたわし420円、ひもつきたわし1,050円(尾崎商店)

東隣の尾崎商店は掃除用品を扱う店。表の床几(しょうぎ)に並べる亀の子たわし、風呂で背中を洗うひもつきたわし、庭ぼうき、座敷ぼうきなど、懐かしい台所用品までいろいろ。観光客も珍しげに品定めをしている。

この辺りから正面に見えてくる豊国神社は慶長4年(1599年)創建で豊臣秀吉を祭る。当時の壮大な社殿は徳川家康によって廃絶されたが、明治13年(1880年)、方広寺大仏殿跡に再建。正面の唐門は伏見城の城門を移築したもので、西本願寺、大徳寺の唐門とともに国宝三唐門のひとつとされる。

北隣の方広寺は天正14年(1586年)に高さ19mの大仏と大仏殿が豊臣秀吉によって建立されたが、その後の地震や火災で焼失。秀吉の没後に奉納された「国家安康の鐘」(重文)だけが残っている。

豊国神社前の大和大路通の南では町家のカフェ東山パインがオープン4年目を迎えた。ここは京の手ぬぐいなどの雑貨と注文を聞いてから豆を挽いてドリップするコーヒー、各種のドリンクが喜ばれており、奥の坪庭のテーブル席でもくつろげる。向かいは京都国立博物館。三十三間堂もすぐそこだ。

ないとう・やすまさ
1933年、京都市生まれ。広告代理店勤務の折に趣味ではじめた小冊子が京福電鉄のPR誌になったことなどにより1972年に独立。京福電鉄や東映太秦映画村の広告制作を担当する傍らフリーペーパー「Kyo!」発行。京都ピイアールセンター代表取締役。