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金田正人の自然かんさつのススメ
6. 図鑑を使ってみる(1)
写真・文:金田正人

名前を知らない生き物たちに、自分で考えて付けてあげるのも面白いのですが、やっぱり本当の名前が気になります。そういうときに便利なのが図鑑です

自然観察をしていると、「どうも観たことのあるチョウチョとは色が違う。これはもしかすると新種なんじゃないかな?」なんていう風に、どうしても何者なのかわからない生き物に出会うことがあります。また、「あれ?この黄色い花、子どもの時からタンポポって呼んでたけど、よく観るとタンポポじゃないよねぇ」というように、何度も観たことがあるはずなのに名前を知らない生き物が身近にいることに気付きます。

そんな生き物たちに、ガイコツムシとか、タンポポモドキとか、自分で名前を考えて付けてあげるのも面白いのですが、やっぱり本当の名前が気になります。そういうときに便利なのが図鑑です。図鑑にはとてもたくさんの種類がありますので、今回はそんな図鑑の選び方を紹介してみたいと思います。

最近ではインターネットで調べものをするのが当たり前になってきていて、「事典や辞書は持っていない」という方も多いようですね。でも、インターネットで調べるには、なにかの手がかりが必要で、これが結構大変です。そんなときの調べ方はまた今度改めてしようと思います。

野外ではハンディサイズの図鑑が便利

最初に持つのは、フィールドガイドと呼ばれるような、ハンディサイズのものが適しています。書店で手に取ってみるだけではなくて、図書館などで借りたり、実際に野外で使ってみると良いでしょう

図鑑といっても、残念ながら「1冊ですべてどうにかなる」というものはありません。

例えば、ある花を調べてみようと思っても、日本の植物(維管束植物)は7,000種以上。これらが全部掲載されているとなると、何冊もの大きな図鑑になってしまいます。さらに、植物だけでなく昆虫も、野鳥も…となると、どんどん揃える必要が出てきてしまいます。でもそれは、自然観察を続けてもっともっと詳しくなってからで十分です。また、まだ自然観察をはじめたばかりの方などは、あまりに詳しすぎると使いこなせない可能性の方が高いです。

自然観察をはじめて最初に持つのは、大きな図鑑、詳しい図鑑よりも、フィールドガイドと呼ばれるような、ハンディサイズのものが適しています。フィールドガイドもまたいろいろありますので、書店で手に取ってみるだけではなくて、図書館などで借りたり、実際に野外で使ってみると良いでしょう。

図鑑選びの疑問

・種類がたくさん載っている図鑑が良い?

なるべくたくさん載っていた方が、ちゃんと調べられそうな気がしますよね。けれど、日本で観ることができる生き物は、野鳥は約700種、植物となると7,000種以上、昆虫に至っては3万種とも言われております。これらが全部載っていると、混乱してしまうだけでなく、大きく重くなりますから自然観察には持って行けません。

掲載されている種類の数は多くなくても、身近な生き物がちゃんと載っているいものが良いでしょう。

・写真が載っている図鑑が良い?

最近は、生物の生き生きとした姿がよく表されている写真の図鑑も増えました。森で見かけた小鳥と全く同じ姿勢の写真が載っているようなことも珍しくありません。その一方で、写真がきれいすぎて実際の姿とは違って見えてしまったり、写真に映っている格好では肝心なところが陰になっていたりしてよくわからないなど、リアルすぎるとよくわからなかったりすることもあります。

イラストの図鑑は、最近では生き生きと描かれているものもありますが、その多くは標本を元に描かれているので、基本的な姿や形がわかります。好みもありますが、はじめて持つ図鑑は、イラストのものをオススメいたします。

・検索図鑑はオススメ?

検索図鑑と呼ばれるものは、それなりに経験や知識がないと使いこなせません。最初は検索に頼らなくても種名にたどり着けるように作られているものを選びましょう

図鑑のなかには、チャート式になっていて、自分の知りたい生き物が何という生き物なのか、1つずつ質問に回答するだけで判明するというものがあります。例えば、花びらは何枚か?葉のつき方は互い違いになっているか?葉っぱのふちはギザギザか?などの問いに答えていくと、その花の名前が分かります。このチャートは、検索図鑑と呼ばれていて僕たちにもとても便利なものです。ですが、実はそれなりに経験や知識がないと使いこなせません。検索で指示されている場所(部位)がどこなのか専門用語で書かれていたり、実物を見て識別したことがないと判断するのが困難だったりします。

最初は検索に頼らなくても種名にたどり着けるように作られているものを選びましょう。また、検索がついている図鑑でも、はじめは検索はあくまでも補助的なものとして用いるのが良いと思います。

金田さんのオススメ図鑑
「Birs of Bali」は、生息環境の入ったすてきな絵でわかりやすいです。見てるだけで楽しいけど、日本では使えません・・・。日本の図鑑でもこんなのが欲しいです。
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・説明がたくさん書かれているものが良い?

ある程度の種類数が載っていてハンディタイプとなると、どうしても図や写真が小さすぎて使いにくく、種ごとの説明も簡単になりがちです。なかには、大きさ、色の説明、分布などが少しだけといったものもあり、こういったものでは逆に物足りないと思います。

なるべく見分け方の説明が多く、分布や生態についても読み応えのあるものの方がおすすめです。その分、どうしても図や種類数が犠牲になってしまいますが、初めはなるべくその生き物について詳しく載っているものを選びましょう。

以上を気にしながら、あとは、実際に図書館で借りてみて、貸し出してもらって野外に出かけ、実際に1種類でいいから見分けてみて、自分が気に入った図鑑を見つけてください。

最後に価格についてちょっとだけ

価格帯はとにかく幅広いですね。ずっと使えるものだから、少々高価でも思い切って…と言いたいところですが、あまり無理をするのはやめましょう。

最初にも申し上げましたが、自然観察の経験を積んでいくうちに、「もっとこんな風に書かれているものが欲しい」などというように、2冊目、3冊目が欲しくなってきます。だから、最初はあまり無理しなくて良いと思います。

 

金田正人氏について

かねだまさと

財団法人日本自然保護協会
自然観察指導員

神奈川県横浜市生まれ。日本大学藝術学部写真学科卒。学生時代から東京を中心に自然観察会を開催。卒業後は、主な活動場所を三浦半島に移し、環境教育や自然保護活動を展開。1991年自然観察指導員講習会を受講。1994年から2005年同講習会講師。1995年に神奈川農環境自主保全協力グループ「こさく」を、1996年に三浦半島自然誌研究会を仲間と設立。最近では外来生物問題(特にアライグマ)対策にも取り組んでいる。生物多様性JAPAN研究員、逗子市環境審査会委員。

財団法人日本自然保護協会
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